家具の継ぎ手の話をすると、「難しそう」と言われることが多いです。でも、ほぞ組みの考え方は単純です。凸と凹を組み合わせて、木同士が抜けないようにする。それだけです。なぜそれが大切かというと、接着剤だけで固めた家具は、接着剤が劣化したときに終わりになるからです。

ほぞ組みの基本的な仕組み

ほぞ組みは、一方の部材に突起(ほぞ)を作り、もう一方に穴(ほぞ穴)を掘って差し込む継ぎ手です。テーブルの脚と幕板の接合に使うのが最も一般的です。ほぞの大きさと穴の精度が合っていれば、接着剤なしでも相当の強度が出ます。工房では、接着剤を補助的に使いますが、ほぞの嵌め合いだけで強度が出る精度を目標にしています。

機械と手仕事の違い

ほぞ穴は機械でも掘れます。精度は機械の方が均一です。では、なぜ手鑿を使うのか。木の繊維の向きは、板の場所によって微妙に変わります。機械は設定した通りに動くだけですが、手で鑿を当てると、繊維の向きに合わせて力の入れ方を変えられます。その結果、断面が滑らかになり、ほぞとの嵌め合いが良くなります。

蟻継ぎとの使い分け

蟻継ぎは、ほぞ組みの変形で、ほぞの形が台形になっています。引っ張り方向の力に強いため、引き出しの側板と前板の接合によく使います。ほぞ組みは圧縮と曲げに強く、脚と幕板の接合に向いています。どちらを使うかは、その部分にどんな力がかかるかで決めます。

修理できる家具を作るために

ほぞ組みで作った家具は、分解できます。接着剤が劣化しても、ほぞを抜いて組み直せます。天板が傷んだら天板だけ交換できます。これが、ほぞ組みを使う最大の理由です。接着剤だけで固めた家具は、壊れたら捨てるしかない。それは家具として不完全だと思っています。

ほぞ組みは、覚えるまでに時間がかかります。工房を始めた最初の二年間は、ほぞの精度が出なくて悩みました。今でも、難しい継ぎ手に取り組むときは緊張します。でも、その緊張感が良い家具を作る上で必要なことだと思っています。